解放されるHaru

2017年03月08日 13:30



療養二週間

狭い場所からやっと解放

思いっきり飛び出る


かと思いきや

大きく開いた天井を

いつまでも見上げるだけ

あれ程邪魔だった

低い空に

すっかり慣れて

すっかり落ち着いていた


羽が動かないことを

低い天井のせいにして

思うようにいかないことを

狭いカゴのせいにして

傷付くことはなかった


開かれた自由な大空を前に

鳥だから

鳥ゆえに

飛ばなければならない


一時の間

やっとのことで飛び出したHaruの体は

あまりに呆気なく

地に落ちる


驚きと戸惑い

怖れていた現実

あまりの力の無さ


茫然とするHaruに手を差し伸べると

ひょこんと飛び乗り丸くなり

か弱い声


そして、すぐ脇を

幼なく小さなクーが飛び回る


人の世でも

何度も見て来たような


握る手の中は

Haruか屈辱か


いつかまた

羽ばたける日は必ずあると

Haruに言う