valoの悲しみ

2016年08月12日 21:46



いつも後になって

やっとわかる


怒ってばかり

「何を興奮してるの?」

見開いた目の、あまりに無垢な訳

「どうして言うこと聞かないの?」

言葉が通じないから

鳥だから

そんな理由は超えているつもりで

まるで一方的で

正も悪も見極めているつもりで


やっと知る

「チョーチャン、ハルー!」

何度もvaloが繰り返したフレーズ

相手をしてほしいための

ポン君の真似

似ていると笑っていた

笑うとvaloも喜んでいると思っていた


一階で無言のvalo

きっと、もう二度と

cho-ちゃんとharuの名は呼ばない


いつしか覚えた

外を飛び回る鳥たちの鳴き声

機械音の雄叫びは

抑えきれない悲しみの大きさ


幼いvaloが見たのは、今は亡きオカメのプーちゃんだけ

他に誰も居ない

黒だけが詰まった瞳

形はあれど、羽ばたかない翼

拙い歩き

誰よりも可愛がられて

いつも誰かが傍にいた・・・


「チョーチャン、ハル―」

悔しさも憧れも

情けなさも羨みも

憤りも不甲斐なさも

もうどうにも処理しようになくて

ただ名前を呼ばれるだけのことが

羨ましくて、羨ましくて

とうとう呪文のように憶えてしまった


valoの目は訴える

卑屈かと思えば、高圧的

撫でてほしくて、頭を下げても

屈服ではない

悲しみはすっかり染み付いてしまって

笑顔もすっかり忘れてしまって

日に日に大人になる彼女

もう二度

安らいだ顔を見せることはない