潤んだ目
2016年01月30日 22:30

ゴマ粒のよりも小さな目でも
人以上にものを言う
鳥のCho-ちゃん
この地に踏み込んでもう三年半
精密な機器よりも小さな身体は
雌の性といい
突然のアクシデントといい
随分と大きな負荷を背負ってきました
人(鳥)生五年
あれほど必死だった産卵の気配も既になく
望むとも望まないとも近づく終末を
いとも簡単に背負って
餌の詰まった箱にまたがり
ただ、ついばみ
なすがまま
この一時だけのための姿に
時折胸を痛めては
己の小ささ、自惚れに悩み、持て余し
敵わないと思い知るのです
イラスト本
2016年05月05日 10:10
ダルマ顔、
真っ赤な尻尾のアフリカン・グレー。
十歳になったヨウムのバロは、
大好きなポン君そっくりの声で
お客を迎え、
家族を呼び、
電話を真似、
大声で笑います。
「ウルサイヨ」
近頃覚えた言葉。
一人ではしゃいでは、
一人で注意。
これにはポン君も呆れ顔。
叱ることもなくなると、
バロはますます大きな顔。
ついには、リビングから
玄関先へと移動されます。
立派な館こそもらいましたが、
家族から離れたことで
大変です。
おもちゃを食いちぎり、
床の針金格子を折り曲げ、
扉を強く揺さぶります。
誰も来ないと泣き叫び
誰か来ると「遊んで」と大騒ぎ。
「うるさいよ」
ポン君の声にも力が入りま
2016年05月02日 19:09
白錦花鳥の二人は
いつも一緒に首を傾げ
同じリズムで餌をついばむ
cho-ちゃんが水を飲みに下りれば
Haruもすぐさま追いかける
cho-ちゃんが寝れば
Haruも寝る
同じ店に蹲っていた塊り
三年分の距離
姉妹か、従姉妹かもしれず
二つの同じ顔は、同じ仕草を繰り返す
なのに
顔を合わせればいつも喧嘩
cho-ちゃんがいきなり飛びつくと
もうHaruは逃げ飛んで
それでもまたいつしか近寄って
一時の休戦
でも、すぐに緊張
右に左に追い掛けっこを始めます
定めなど関係ない
本能など知る必要もない
感じるままの二人は
もしかしたら血縁のある二人は
ずっとこのままでいるのだろうと思うと
どうしてか
2016年04月29日 18:04
大空を舞う鳥は自由
それならば
ポン君の手の中
じっとうずくまるcho-ちゃんは
不自由なのか
子に恵まれない親は不幸
ならば、何度も何度も
無精卵を
ハアハアと、命を削って産んできたcho-ちゃんは
不幸なのか
人は見たいものしか見れない
だから、
権力者はひれ伏する者の声しか
賛美の声しか耳に入らず
民は羨望の声を求め
小さな挫折に癒しの声しか
聞きたくない
そんな人だけが、誰かの幸せを計ろうとする
深く身体を沈め
もう飛び回ることのないcho-ちゃん
大空を
飛び回る鳥は
いつまでも満たされない幸せを探し続け
cho-ちゃんはポン君に見守られ、老いていく
鳥の飛ばない日
誰かが不幸せだと
2016年04月28日 18:42
あなたが人なら
どんな女性だろう
純白の身体を震わせ
高らかに鳴く
ついこの前まで雛だった
まだまだ幼いはず
活発で、悪戯で、多くの気紛れ
時に、あまりに優しい毛繕い
あなたは
私を同じ鳥だと思っているのでしょうか
目があって、口があって
羽のような手があって
身体があって
鳥と人との違いを知っているのか
知りたいと思っているのか
知るまでもないことなのか
賢鳥のあなたには
きっと、取るに足らないことでしょう
小さな身体の
大きな瞳を
真直ぐ向けられると
理屈を要する愚人は
あなたが人なら
どんな女性だろうと
想像してしまうのです
2016年04月25日 23:07
決して
目を逸らして生きているつもりなどなく
しっかりと腰を据えて物事を受け止めているつもりでも
どうしてか
いつもずっと後になって押し寄せる
止まらない感情
ああ…
嫌になるわ
おじいちゃんが死に
おばあちゃんが亡くなり
父が消え
ついには母も没し
あの時、この手に抱いた実感も
思えば上の空
向き合っていたはずが
あの暖かい温もりを知っていたつもりが
偽りに似た感謝しかなく
悲しみは失った己の欠片のみ
もう、嫌になる
どれだけ愚かだっただろう
まるで教えてくれるために、誰も彼も消えてしまった
次に何が繋がるだろう
何を求めたのだろう
でも、それも自惚れ
ついには独り
自らの消滅を、未だに受け
2016年04月17日 18:07
大きさってなんだろう
まるで意味もない
平気で蟻を踏み潰して
馬の高さに驚いても
小さな手の中の
小さな白い塊りのcho-ちゃんは
怒ると全身を伸ばして突きます
時折立ち止まり
難しい顔で悩み
卵を宿すと
もうすっかり背を向けてしまい
俯いてまったく動きません
小さな塊のcho-ちゃんは
不機嫌顔
コップの中を覗き込み
食べていると寄ってきては
欲しいものに無心で求め
お気に入りのポン君の手の中で
一輪の花になり
気にらない物には襲いかかり
人は脳の大きさで優劣を付けたけど
こんな小さな頭でも
恋の相手をきちんと選んで
人間が、どんな姿をしても
きちんと見分けて
自分の居場所をしっかりと作りま
2016年04月10日 16:27
ヨウムのバロは
この家と同じ年齢です
ヨウムのバロは
黒目のよちよち歩きで
ポン君の胸で一眠り
ヨウムのバロは
今ではすっかりわがままで
陽気な街の鳥たちの
鳴き声ばかりを真似します
人一倍大きな声で
時にはポン君の高笑い
調子にのってはいつも叱られます
ヨウムのバロは
人の物を取り上げては
噛み飽きるまで砕きます
さぞかし遊びに使うだろうと
おもちゃを買ってきたポン君は
まるで見向きもしないバロにがっかりです
ヨウムのバロは寂しがり
人撫で声もお手のもの
弱く呼べば可愛がってくれると知っています
でも
ポン君はすっかり慣れてしまって
今ではすっかり相手にしません
ヨウムのバロは
人の気を知
2016年03月25日 21:40
―何故生きるのか―
って
思い込むしか救われない
憐れな僕たち
きっと彼女達は知っている
でも見下さない、自惚れない
自尊心、虚栄心もない
ただ、あるがままに
飛んでは求め、跳ねては応え
白い軌跡は忙しく
決して、振り返り、悔やむこともない
もし彼女達が話せるのなら
―そんな富貴で暇な思考で、この貴重な時間を潰すため―
って笑うのだろうか
2016年03月17日 22:56
雨音ばかりが
頭の周りを浮遊している
すっかり春のこの日
籠の中のcho-ちゃんの姿
餌箱に埋まる白色は
すっかり色褪せて
うつろなのは重い空のせいか
激しい雨が、cho-ちゃんとの間に降り注ぐ
ついこの間まで
引っ切り無しに「出して」の催促で飛び回っていた
もう見る影もない
衰えが、どうしてこうも早いのか
鳥の一生は瞬く間
それでも
明日は晴れるらしい
そうなれば、彼女も少しは元気になるだろう
今は圧倒的な銀色の雨も
明日になれば光り輝いてくれるはずだ
2016年03月13日 23:02
Haruはすぐに脚を冷やします
でもHaruの脚はすぐに温まります
Haruはガジュマルの木を棲家にしていました
でも今のHaruは、100均の植物の編みカゴを求め彷徨います
Haruは手の平を求めます
でもついこの前までは、逃げ惑っていました
HaruはCho-ちゃんに追いやられます
未だ反撃もならず、脅えて暮らします
が、それでも間合いを測りながら
飾らない小さな身体で
前しか見えない様で
それでもいつかは自分が主になるためか
ほんの少しずつCho-ちゃんを取り囲むように棲家を広げます
Haruは今、パソコンのキーボードの上で
時には炬燵布団の隙間で
時には置かれた本の影で
白く小さな身体